先輩農家の体験記

Interview


株式会社権右衛門

佐々木唯翔

■所在地:秋田県にかほ市
■栽培品目/栽培面積:水稲/43ha、ねぎ/1.6ha
■従業員:4名
■就農時の年齢:18歳


「農業は個人から会社で行う時代に」というビジョンに共感し雇用就職を決意

株式会社権右衛門で勤務する佐々木唯翔さん

秋田県では農業法人の数が年々増加しており、就職する人も増えています。令和5年度に秋田県内の農業法人などに雇用された人は191人と新規就農者の約7割を占め、統計を取り始めてから最多人数となりました。

佐々木唯翔さんが、秋田県にかほ市で水稲と長ねぎの生産・販売を行う須田貴志さんのもとで雇用就農の道を選んだのは、高校在学中の18歳のときでした。
須田さんから「5年後、10年後には、農業は個人から会社としてやっていく時代になる」と聞き、須田さんが会社立ち上げの準備をしているタイミングだったこともあって「農業をやってみようと思えた」と振り返ります。また、1から10まですべて、一貫して作物を作ることができる農業の形にも魅力を感じたそうです。

就職して5年目。2021年に株式会社権右衛門が設立され、そのビジョンが現実のものとなり、「農業でも稼げる」「農業も職業のひとつの選択肢として選べる時代になってきている」と実感しています。

一年を通し安定して働ける米とねぎの複合経営

田んぼに実った稲
株式会社権右衛門が所有するネギの圃場

非農家出身の佐々木さん。収穫の喜びは思っていた以上に大きかったそうです。また、夏場の暑さ、冬の寒さは大変でも、自然の中で仕事をする気持ちのよさも農業の魅力だと考えています。

コンバインで稲刈りをする佐々木さん
防除に使用するドローン
同僚と作業する佐々木さん

権右衛門の社員は30代、40代の若いメンバーがほとんどです。
会社で農業をするメリットは、身近に仲間がいるため相談がしやすく、一緒に作業するので作業性も上がること。あちこちに散らばった農地をなるべく一筆で回れるよう、メンバーみんなで知恵を出し合ってルートを考えたり、ひとりで作業をした時につまずいたことを話し合えたり、行き詰まらないのがいいと言う佐々木さん。


「草刈りなど、同じ作業の繰り返しを一人でしていると孤独を感じたりするんですけど、会社に戻れば社員がいて、こうだったんだよねなどと話せるところが、会社で農業をするすごくいいところなんじゃないかな。」

若手とベテランをつないで地域の農業を盛り上げたい

株式会社権右衛門の代表・須田貴志さん

権右衛門の代表・須田さんは、にかほ市内で400年以上農業を続けてきた農家の出身です。先祖代々続く農地を地域で守っていきたいという考えから、家業を法人化して権右衛門を立ち上げ、農作業の受託事業も行っています。
「ベテランが活躍できるあと数年のうちに、若い人とベテランをつなぎたい」と積極的に若手を採用しています。

田が広がるにかほ市。近くには海も。

須田さんは秋田県の新規就農の特長として、農地が探しやすいことを挙げます。
権右衛門のあるにかほ市も田んぼが多く、「にかほを農業が盛り上がる場所にしたい。農業で盛り上げて人を集めたいなと。地域を良くするためには若い農業者を増やして、どんどん農家が増えることで、農業を盛り上げていけたら」と語る須田さん。「とにかく失敗してでも経験を積んでもらって、1年1年少しずつ成長してもらえば」と佐々木さんをはじめとする若い農業者に大きな期待を寄せています。

稲の実った田んぼに立つ佐々木さんと須田さん
秋田アグリフロンティア育成研修