株式会社寿牧場
秋田県秋田市にある株式会社寿牧場。2017年に新設した牛舎3棟で黒毛和牛600頭を肥育※しています。 肥育農家としては秋田県第2位の規模にも関わらず、従事するのはわずか4名。生産効率は全国トップクラスといえます。
■所在地:秋田県秋田市河辺松渕
■栽培品目:肉用牛600頭(年間出荷頭数:360頭)
■業種:畜産農業
■栽培面積:牛舎3棟/7,081㎡、堆肥舎/1,167㎡、飼料庫等/293㎡
■URL:https://farmers-party-network.jp/business/kotobuki/
株式会社寿牧場
牛にやさしい会社は人にもやさしい。未経験でも活躍できる理由とは?

秋田県秋田市にある株式会社寿牧場。2017年に新設した牛舎3棟で黒毛和牛600頭を肥育※しています。
肥育農家としては秋田県第2位の規模にも関わらず、従事するのはわずか4名。生産効率は全国トップクラスといえます。
また、秋田牛枝肉共励会での受賞等、高い技術力を誇る牧場です。
※肥育とは…子牛を購入し肉牛として出荷するまで育てる仕事のこと。
今回は、代表取締役の髙橋寿さん(左)と、新卒でこの世界に飛び込み、今や牧場に欠かせない存在となった従業員の益子佳緒里さん(右)に、牧場での仕事の魅力と未来についてお話を伺いました。

髙橋さんが語る「牛にやさしく」という寿牧場の経営理念

現在、代表取締役を務める髙橋さんは33歳の時に家業である寿牧場で働き始めました。 農業系の大学を卒業後、一度は別な職種で働いていましたが、とあることが転機で畜産業へ転身することに。
「きっかけは父が『和牛のオリンピック(全国和牛能力共進会)』で秋田県代表として全国2位になったことでした。子どもの頃から牛のいる生活だったので、漠然といつか家業を継ぐことになるかもしれないとは思っていましたが、父の快挙に刺激をもらい転身を決意しました。」
そこから約12年。髙橋さん自身も牛にまつわる数々の賞を受賞し実力をつけ、来年2026年には牧場を正式に引き継ぐ予定です。
寿牧場の企業理念は「牛にやさしく」。創業者である髙橋さんの父・長寿(ながとし)さんが定めたものです。
父から受け継いだ「牛は大切に扱った分、きちんと返してくれる」という言葉は、寿牧場の経営理念「牛にやさしく」の根幹にもなっています。
髙橋さんはこの経営理念を受け継ぎ、従業員には常に「牛をよく見なさい」と伝えています。 「牛を見る」と言ってもさまざまで、たとえば顔つきや行動、食事の様子、反芻など…牛のありとあらゆる様子を観察し、わずかな変化も見逃さないという日々の積み重ねが、質の高い肉牛を育てることに繋がっているのです。
寿牧場が提供する「人にもやさしい」働く環境
人手不足が課題となっている畜産業界。寿牧場は、この問題を決して他人事とは考えていません。 牛にとっての快適さを追求するのと同じように、働く人々のための環境づくりにも力を入れています。
徹底した省力化で、一人ひとりの負担を軽減

寿牧場では、従業員一人ひとりの負担を軽減するため、積極的に省力化を進めています。 畜産業には力仕事が多く、特に餌やりは重労働で1回あたり2時間以上かかることも珍しくありません。この負担を軽減するため、牛舎ごとに自動給餌機を設置しました。
当時は乳牛用しかなかった機械を肥育用にカスタマイズしてもらい、現在の牛舎に切り替わったタイミングで導入。今まで餌やりに掛かっていた時間を他の作業に充てられるようになったため、生産性が格段に向上しました。16時半の定時には役員を含む全員が仕事を終えていることがほとんど。時にはそのままみんなで食事に行くこともあります。
手厚い福利厚生と成長を支えるサポート

従業員が安心して長く働けるよう、寿牧場では手厚い福利厚生を用意しています。
社会保険が完備されているのはもちろんのこと、生活面でのサポートとして一人暮らしの従業員には基本給のほかに住宅手当を支給。また、力仕事で疲れた体をケアするための整体費用も会社が一部負担してくれます。働く人の負担を少しでも減らす、きめ細やかな配慮が伺えます。
勤務時間への配慮も徹底されています。現在飼料の管理を任されている益子さんの1日のスケジュールは「朝7時半出勤で全棟に給餌。1時間半の休憩を挟み、牛舎の掃除と夕方の給餌を終えて16時半には退勤」というもの。一般的な農家のイメージほど出勤時間が早くなく、昼休みも1時間半としっかり取れるのが大きな特徴です。
また、普段働く場所への配慮も欠かしません。個室の休憩室兼更衣室が完備され、従業員のプライベート空間もしっかり確保されています。女性従業員の入社を機にそれまで簡易式だったトイレを新設するなど、働く人のために何ができるかを常に考え環境を更新し続けています。
心を奪われた牛との出会い

2025年で入社3年目を迎えた益子さんは、秋田県立大学生物資源科学部アグリビジネス学科の卒業生です。しかし、大学に入るまでは畜産は全く未知の世界だったといいます。そんな彼女の転機は、大学での牛との出会いでした。
「初めて牛と触れ合った時の印象がとても大きかったんです。生き物が好きだったので、どんどん惹かれていきました。」
牛との出会いをきっかけに畜産・肥育の世界を志すようになったそうです。
人柄に惹かれて入社を決意。入社前からサポートは始まっていた

“牛が好き”という気持ちに導かれ、益子さんは寿牧場にインターンシップで訪れました。
そこで彼女が感じたのは、仕事の内容以上に、牧場を経営する髙橋夫妻や先輩従業員の人柄の良さや上下の垣根を越えて意見が言える職場の良い雰囲気でした。
「話しかけた時に嫌な顔をせず、快く接してくださったんです。質問をしても否定せずに丁寧に教えてくれる。この人たちと一緒に働きたいと強く思いました。」
この直感を信じて髙橋さんに就職を直談判し、快く受け入れてもらえたとのこと。
益子さんは大学在学中に大型特殊免許を取得。入社前にも関わらず費用は会社が負担してくれました。
大学では繁殖についての勉強が主だったため、肥育については寿牧場で一からのスタートでした。入社後、まずはマンツーマンでの指導を受け、一日の仕事の流れや機械の使い方を覚えました。次の段階では1頭を管理し、基礎的なことができるようになると半年後には牛舎1棟を任されるまでに成長していきました。そして、自分が担当する牛1頭1頭の様子を見て、臨機応変に対応する日々が始まったのです。
牛への愛情が実を結んだ、入社2年目での快挙

昨年、入社2年目だった益子さんが担当した牛が秋田県の品評会でチャンピオンに輝きました。それは寿牧場が毎年受賞してきた秋田牛枝肉共励会でのことです。
「一人で獲れたとは思っていません。1年目、2年目と教えていただいたことを正確に忠実にやってきたから、良い牛を育てることができたんだと思います。」
益子さんは、担当する牛を全て可愛がっていると言います。特定の牛だけを特別扱いするわけではありません。
「全頭をチャンピオンにしたいんです。理想論かもしれないですけど、全頭が良い成績を出せる牛になるように、日々頑張っています。」
賞を獲ることで自身の喜びはもちろん、会社のネームバリューにも繋がる。その喜びを原動力に、一頭一頭に愛情を注ぐ毎日が益子さんのやりがいとなっています。
憧れの畜産を、確かな環境で。寿牧場で理想の「キャリアを築く」

益子さんに将来独立する可能性を尋ねると、「私はこの牧場で従業員として働き続けたい」という答えが返ってきました。その言葉からは、日々の仕事に心から満足し、充実している様子が伝わってきます。
「畜産は『汚い、臭い』といったネガティブなイメージがあるかもしれませんが、やってみればやりがいも大きいです」と語ります。実際に取材で感じたのは、そのイメージが覆されるほどの清潔さ。徹底した環境管理により、匂いはほとんど感じられませんでした。さらに600頭もいるにも関わらずどの牛も人懐っこく、日頃から愛情深く飼育されている証拠だと感じました。
寿牧場の未来への展望

現在600頭の飼育頭数を将来的には1000頭にまで拡大させたいと語る髙橋さん。秋田は稲作が盛んな土地柄なので、牧場から出るたい肥を田んぼに使ってもらい、収穫したお米や稲わらを牛が食べる…といった循環型農業も目指しています。 また、夢を伺うと寿牧場直営の焼肉店を立ち上げたいとのこと。その夢の実現のためには、同じ志を持つ人間の力が不可欠です。
寿牧場が求めるのは、農業系の学校出身者や経験者だけではありません。 「牛が好きで、この仕事がやりたいという興味と向上心がある人」こそがもっとも大切な資質だと考えており、未経験でもこの志があれば十分成長していける環境が整っています。 実際、未経験から活躍している従業員もいます。経験も年齢も問わず安心して挑戦することが可能です。
農業や畜産は、一見すると地道な仕事かもしれません。しかし、そこには生き物への深い愛情と、日々の努力が報われる確かな喜びがあります。 株式会社寿牧場は、そんな畜産業界の魅力を感じられる場所であり、秋田で新たなキャリアを築きたいと考える人にとって、最高の出発点となるでしょう。