合同会社トライズ
合同会社トライズは、約43haの圃場で水稲やトマト、ねぎ、そば、えだまめなどの作物を栽培している農業法人です。代表の山口秀幸さんをはじめ、地元鹿角に住んでいる10~40代の若いメンバーが中心となって日々の農業に取り組んでいます。
■所在地:秋田県鹿角市
■栽培品目:水稲、ハウストマト(大玉、ミニ)、そば、ねぎ、えだまめ
■栽培面積:約43ha(水稲23ha、トマト25a、そば12ha、ねぎ15a、えだまめ7.5ha)
合同会社トライズ
「ここで働きたい」若手が自然に集い、地域の農地を未来へつなぐ

合同会社トライズは、約43haの圃場(ほじょう)で水稲やトマト、ねぎ、そば、えだまめなどの作物を栽培している農業法人です。代表の山口秀幸さんをはじめ、地元鹿角に住んでいる10~40代の若いメンバーが中心となって日々の農業に取り組んでいます。
鹿角市の高齢化率は43.3%。高齢化により畑作業ができなくなった方の畑を守るため、年々栽培面積を増やしながらさまざまな農作物づくりに励んでいます。
農業経験者は多くありませんが、地域の先輩農家のもとで勉強したり、県の講習に参加したりするなど、日々のスキルアップは欠かしません。
土づくりにこだわり、持続可能な農業に挑戦

合同会社トライズを設立したのは、鹿角市で生まれ育った山口秀幸(やまぐちひでゆき)さん。
高校卒業後、20年以上にわたって畜産関係の仕事に従事してきましたが、2022年に実家の農業を引き継ぎ、会社を立ち上げました。
1年目は3haという小規模の田んぼから始めましたが、2年目には県の地域振興局農林部から農事組合法人高屋を紹介され、16haの圃場を管理するようになりました。その後も徐々に受託面積を増やし、4年目の現在は約43haの圃場を管理しています。
スマート農業など最新の技術を活用するトライズですが、土づくりにもこだわっています。そのきっかけの一つが、山口さんが前職で自然循環農法(BMW技術)に携わっていたことでした。「化学肥料の削減や伝統的な土づくり、これまで学んできたBMW技術を取り入れたやり方も大切にしたい」と語ります。山口さんだけでなく、社員のなかにも土づくりに強い関心を持っているメンバーがいるので、こだわりたいポイントを共有できるのはうれしいことだそうです。
人が人を呼ぶ。「ここで働きたい」と地元鹿角の若者が自然と集う

合同会社トライズには正社員3名、嘱託職員8名が在籍しています。正社員のなかでもっとも若い浜中舞さんは1997年生まれの28歳。嘱託職員として10代の男性も働いており、彼は来年度から正社員として就職予定です。トライズの平均年齢は40歳を切っており、平均年齢69.2歳という農業従事者のなかでは若い人が集まっていることがわかります。
「働きたい」と訪ねてくる若者が多いため、積極的に求人を出さなくとも人手不足で困ったことはありません。山口さんは「なぜこんなに人が集まるのかは分かりませんが、働いてくれているメンバーが様々な場所で『働きやすい』『楽しい』と言ってくれているようです」と、笑顔で語ってくれました。
従業員は地元鹿角出身の人ばかりで、前職は料理人や畜産関係、保険会社勤務など幅広いです。
「未経験者の方も、積極的に学ぶ姿勢があったり、講習で教わったことを素直に吸収してくれたりするので、経験は問いません。むしろ未経験者の方が先入観なしに農業技術を習得できるという特長もあるのではないでしょうか」とのこと。ドローンや直進アシストトラクター、自動操舵機能付きの田植え機などのスマート農業を取り入れて、未経験でも働きやすい環境を目指しています。
雇用就農のメリットは福利厚生が整っていることや心強い仲間がいること

農業法人に就職して農業をはじめる「雇用就農」。そのメリットはどんなところでしょうか。山口さんは「社会保険や休日などがしっかり整っていること、初期投資が不要なこと」と語ってくれました。
トライズでは週に2日の休日や有給休暇に加えてリフレッシュ休暇が年間6日分用意されており、プライベートも大事にできる環境が整っています。
また、講習の受講費や、免許や資格取得の費用の補助もあります。「土づくりの講習会など、勉強したいことがあれば積極的に受講してもらっています。関心のあることを勉強し、知識を得て、社内に還元してくれたらうれしいです」と山口さん。
はじめから仲間がいることも雇用就農の良さのひとつ。一人ではキツい作業も仲間がいれば楽しく取り組めます。「春先に、手作業で田んぼ100枚分の農業用水路から泥や草を取り除く必要があるのですが、一人で取り組むと心が折れます。そんなときは、社内の全メンバーでわいわい言いながら一斉に取り組んでいるんです。」
普段は単独で作業することも多くありますが、大変な作業はみんなで力を合わせて進めます。
挑戦したいことをすぐに実践できるのがトライズの魅力

2025年4月に合同会社トライズに入社してから半年が経った浜中さん。「挑戦したいことを代表に伝えると、すぐに実験させてくれる環境が魅力的」だと語ります。
浜中さんは別の農業法人で働いた経験がありますが、当時は農業初心者だったこともあり、挑戦したいことを提案できませんでした。
人づてに山口さんを紹介され、話を聞いてみると、正社員での雇用が可能であることや積極的に実践できる環境であることが魅力的に映りました。「土づくりに関心があり、使ってみたい資材や試したい方法がいろいろとあったので、トライズで正社員として農業に挑戦してみたいと思いました。」
作物の病気の原因や対策を調べるうちに、農業や土づくりの奥深さに惹かれていったといいます。SNSから情報収集することも多く、小まめな情報提供や提案のおかげで山口さんからもありがたがられている様子が伝わってきます。
自分で栽培した米やえだまめを知り合いに食べてもらうと、「おいしい」と言ってもらえる。この瞬間がうれしくて、農業という仕事に誇りを持ちながら働く毎日です。
合同会社トライズという社名には「To RISE」「Try」両方の意味があり、「常に上を目指してやっていこう、挑戦していこう」という想いが込められています。代表の山口さんだけが事業について考えるのではなく、みんなで考えを持ち寄って、そのなかで「やってみたいね」と話しながら事業を進めることを大切にしているそうです。山口さんが作成した事業計画や5か年計画を従業員に共有することで、モチベーションを高めながら日々の仕事に取り組んでいます。
「私は入社してからまだ半年しか経っていませんが、これから農業の知識をつけて、もっと代表の力になりたいです」と力強く話してくれた浜中さん。柔軟な考えを持つ山口さんのもとで、やる気に満ちた若手が育ちます。
初心者でも子育てしながらでも安心しながら柔軟に働ける

農業経験が豊富ではなかった浜中さんですが、気軽に相談できる先輩が近くにいるので、安心感があるといいます。気になることは朝礼や夕礼の際に質問し、単独作業時に不明点が出てきた場合は電話で助けを求めることも。機械操作については動画を撮影して自分で復習しながら覚えました。
浜中さんには1歳になるお子さんがいますが、育児との両立もしやすい環境です。「勤務時間は8時半から17時が基本ですが、子どもが熱を出したときには早退できますし、正社員でありながら柔軟に働けるのはありがたいですね」と語ってくれました。
恵まれた秋田の気候と柔軟な働き方から生まれる“選ばれる農業”

従業員にとって働きやすく、地域の若者が次々と集まってくるトライズ。雪深い秋田県鹿角市で農業をする魅力はどこにあるのでしょうか。
山口さんは「寒暖差を利用しておいしい作物を作れるところや温暖化の影響がそこまで大きくないことが魅力的」だと語ります。「ここ数年は温暖化が進み、地域によっては今まで通りの栽培が難しくなってきたと聞きます。しかし、夏の気温については秋田はそこまで深刻ではないので、農業をする環境としては恵まれていると思います。」
冬は雪が積もり、除雪作業など大変なこともありますが、寒暖差は作物をおいしくするスパイスにもなります。また、今年からはハウスでキャベツやハボタンの栽培を始め、冬でも作物を育てることが可能になりました。もちろん秋に収穫した米の販売なども冬の仕事です。
「春から秋まで頑張って働いて、冬は来年の準備をしながらスローペースで働くのも悪くないと思っています。季節の変化に合わせながら、みんなで柔軟に働けるようにしていきたいです。」
これからもトライズに集結した若い個性が、地域の農地を守り、おいしい作物を全国に届けてくれるでしょう。