就農地域は目指す経営像と密接に関係します。希望する品目が決まっていれば、それが盛んに生産されている地域が候補地になります。主産地は栽培技術の指導体制や出荷体制が整っており、支援機関が支援しやすく、就農希望者がスムーズに就農しやすい環境が整っているからです。
一方、就農地域を優先して考える場合は、その地域の主力品目を経営品目に取り入れることが最良
の選択となります。就農地域で栽培されていない品目を計画している場合、支援機関に栽培技術
のノウハウがないため、就農後に思わぬ苦労を強いられる場合もあります。
また、移住就農の場合は、病院、学校、金融機関などへの利便性、知人、親戚の有無など、生活条件も考慮するとよいです。

目指す経営の姿、栽培品目、経営規模、農地の条件(土壌 条件、日照条件等)、販売先などによって習得すべき農業技 術は異なります。技術習得ではどんな品目の何の技術を習 得したいのか具体的な目的を持って学ぶことが大切です。
農業体験から基礎知識の習得、実践的な栽培技術や農業 経営手法まで幅広く学べる県や市町村による公的な研修制 度があり、研修先は試験研究機関や就農地域の先進生産者 から選ぶことができます

農地は、売買よりも賃借により取得し、営農開始するのが一般的です。農地情報は農業委員会、 農地中間管理機構の他、就農予定地域の生産者、JA営農指導員などから聞くことがで きます。
農地を取得する際は、土壌条件（排水、土質、水利など）や気 象条件（気温、積雪量、風向など）、立地条件（農道、冬期の除 雪など）、近隣の生産者の状況などをしっかりと把握した上で取 得することが、順調な経営の前提になります。

機械・施設導入などの初期投資、当面の運転資金はもちろん、農業で収入を得られるまでの生活資金も準備してから就農しないと、経営継続に支障をきたしてしまいます。一般に農業経営で収支が黒字になるのは３～５年目以降といわれています。
就農１年目にかかった経営費の全国平均額はおよそ750万円、また準備した生活資金はおよそ280万円との調査結果があります。目指す経営像や家族状況、機械施設の準備状況などによりますが、就農するために必要な金額は1,000万円以上といえます。

農業機械をすべて一度に揃えようとすれば多くの資金を必要とします。最初は必要最低限の農機具や施設を準備し、経営が軌道に乗り始めてから徐々に装備を充実させるのが現実的です。
トラクターなど高額で使用頻度の低い機械類は他の生産者から賃借する、または作業を委託することで初期投資を抑えることができます。また、その他にも中古品等の活用や離農した／離農予定の農家からの貸借や買い取りも考えられます。